ピアノを独学で始めて6年で挫折することに至った経験をお話しします。
なぜ辞めてしまったのかということを客観的に振り返ることで、現在、挫折しかかっている人、これからピアノを始める人で挫折を恐れている人、そんな人への挫折を乗り越えるためのアドバイスになればと思います。
きっかけは映画『戦場のピアニスト』
今から13年前、ピアノに興味を持ったのは映画『戦場のピアニスト』を観たのがきっかけでした。
映画の中で主人公が弾いていたのがショパンの『ノクターン20番』。
なぜだかその曲が頭から離れず、これまで全く興味がなく、触ったこともないピアノを弾いてみたくなったのです。
レッスンに通うことも考えましたが、当時は30代。
音楽経験が全くない大人の素人がピアノ教室に通うということに、どこか恥ずかしさや後ろめたさがあり、また金銭的にも余裕がなかったことから、独学で始めることに決めました。
練習方法は基本に忠実にバイエルから
基礎からやるものだと考え、最初はバイエルから始め、次にブルクミュラーと基本の教則本を進めていきました。
ブルクミュラーを始めた頃から併用して他の曲も練習し始めました。
バイエル以外で弾いた曲
確か最初に弾いたのは『エリーゼのために』だったと思います。
その他には『もしもピアノが弾けたなら』や『秋桜』などのポップスも弾いていました。
ブルクミュラーが終わったぐらいからショパンのノクターン20番を練習し始めたのではなかったでしょうか。
記憶がおぼろげなのは、何も記録を残していないからです。
正確には詳細な記録を付けていたけれど廃棄してしまいました。
楽譜も全て処分してしまいました。
それくらいピアノの挫折はショックな出来事でした。
挫折の兆しは『ノクターン20番』を練習している頃
ノクターン20番を練習し始めた最初の数ヶ月は進歩も感じ、憧れの曲を弾ける楽しい時間を過ごしていましたが、徐々に練習のモチベーションが低下し始めました。
なぜなら曲が後半に進むにつれ、難しい箇所がたくさん出てきて何度練習しても弾けないようになってきたからです。
練習が苦痛に感じられ、気分転換に違う曲を弾こうと思っても、気力がなく何もできませんでした。
今思うと、ノクターン20番は当時の私のレベルでは手を出してはいけない曲だったのです。
他人と比べて劣等感に苛まれる時期
当時はYoutubeのような動画サイトも今ほど盛んではなかったですし、SNSもまだありませんでした。
そういった中でネット上で演奏を披露している人はみんな幼少期からの経験者で上手な人ばかり。
何度かピアノ経験者の方と接する機会がありましたが、実際の演奏を聴けば聴くほど、自分と比べてしまい挫折感が強まる時期でした。
やはり音楽経験のない素人がピアノを弾くなんて無理なんだ、と投げやりな気持ちにもなりました。
とうとう挫折し、ピアノは黒歴史に
6年目に入ると、ピアノに対する情熱が薄れ、毎日触っていたピアノからだんだん遠ざかるようになりました。
ノクターン20番は相変わらず弾けないまま。
他の曲もすべて中途半端のまま。
演奏する楽しみもすっかりなくなってしまい、最終的にはピアノを辞めることになったのです。
ピアノを弾いていた痕跡をすべて消しました。
自分の演奏を録音していたファイルも全て削除。楽譜も捨てました。
唯一、練習していた電子ピアノだけは重くて処分するのに難儀し、そのまま残すことになりました。
その後の13年間、「また弾こうかな」と思ったことは一度もありませんでした。
完全に「黒歴史」になってしまったのです。
なぜ挫折してしまったのか
再びピアノと向き合うことを決めた今、当時をいろいろ振り返ってみました。
固定観念にこだわりすぎた
挫折した大きな理由の一つは、「ピアノの練習はこうあるべき」という固定観念にこだわりすぎていたこと。
楽譜にドレミを書いてはいけない
教則本から始めなくてはいけない
クラシックを弾かなければいけない
楽譜にドレミを書いてはいけない
「音符にドレミを書いてしまうと、いつまで経っても楽譜が読めるようにならない」
確かにそうなのですが、大人のピアノは「楽しさ」を忘れたらすぐに挫折します。
覚えられなくていつまでも弾けないより、書いてすぐに弾けるようになった方がいいと思うのです。
教則本から始めなくてはいけない
コツコツやるのが好きなタイプだったので、バイエルから始めました。
1曲ずつクリアしていく喜びを感じてはいましたが、今思うと全曲やる必要はなく抜粋で良かったなと。
バイエルを終えるのに1年以上はかかっていました。
教則本で学ぶのは悪くないけれど、律儀に全部やる必要はないです。
大人ならではの知恵を働かせて効率よく練習すべきだったというのが反省点です。
クラシックを弾かなければいけない
ピアノを弾くならクラシック。ポップスなんて邪道だという固定観念がどこかにありました。
でも大人から始めた人が弾ける曲にはどうしても限界があります。
クラシックの難曲に時間をかけるより、簡単な曲をたくさん弾けた方が絶対に楽しい。
もちろん、クラシックでも初心者が弾ける曲もたくさんあります。逆にポップスでも難しい曲もあります。
ジャンルに縛られずに自分の実力に合った曲を選ぶことが大事です。
他人と比べてしまった
独学でやっていると、他の人の演奏を見て勉強することが多くなります。
そうすると、どうしても自分と比べてしまうのです。
「この人はこんなに上手く弾けてるのにどうして自分は弾けないんだろう」
こんな風に劣等感が芽生えてしまい、どんどん自信を無くしていきました。
人によって上達するペースは違うし、環境も様々です。幼少期にピアノを習っていた人や、他の楽器経験がある人など。
自分は自分。他人と比べても良いことなんて一つもありません。
まとめ:固定観念を捨てて気楽に臨もう
独学でピアノを練習していて挫折しないためには「こうあるべき」という固定観念を自分に押し付けないことが大事だと気付きました。
そもそも独学というのが「こうあるべき」という固定観念から外れているのですから。
2度目の独学はもっと気楽に臨んでみようと考えています。
また挫折するかもしれないけど、そのときは「またやっちまった」と笑い飛ばしてしまおう。
そんな風にやっていけたらと思っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
私の体験談が、現在独学で行き詰まっている人、これから独学でピアノを始めようとしている人、そんな人の参考になれば幸いです。
現在の私は完全独学ではなく、通信講座を利用してピアノを練習しています。
詳しくは以下の記事をご覧ください。